江戸前ハゼ復活プロジェクト

マハゼの棲み処調査

マハゼの特徴や、「江戸前ハゼ復活プロジェクト」がおこなっている「マハゼの調査」の内容とその結果からわかったことなどについて、ハゼと海の環境の関係などの研究をされている古川恵太先生による連載記事などでおしらせしていきます。

古川恵太先生

古川恵太先生プロフィール

古川恵太先生は、国交省の国土技術政策総合研究所や、オーストラリアの海洋科学研究所、民間財団の政策研究所などで海の環境とその再生方法について30年以上研究をしてきました。今も、笹川平和財団海洋政策研究所の特別研究員やNPO「海辺つくり研究会」理事長、横浜国立大学や徳島大学の客員教授を務めながら、海の保全・再生に関する研究や市民活動への支援を続けています。「江戸前ハゼ復活プロジェクト」では、「マハゼの棲み処調査」のデータを用いて東京湾におけるマハゼについて研究し、多くの学会報告や論文発表をしています。

2020年6月
連載 マハゼの棲み処 第1回

マハゼの生活と育つ場所

みなさんは、ハゼという魚を知っていますか?ハゼは、スズキの仲間で、日本には700種をこえるハゼがいます。主に、海の水と川の水が混ざる「汽水域きすいいき」と呼ばれる場所に生息し、棒のような体をもっていて、目が体の上の方につき、海底に張り付いたり、岩のかげにかくれたりしているものが多いです。

マハゼ(真沙魚)の見分け方
マハゼの見分け方

ハゼを漢字で書くと、「沙魚」と書きます。面白いですね。「沙」のヘンはサンズイで「水」を表し、ツクリは「少ない」ですから、水の少ないところ、すなわち浅いところにすんでいる魚を表します。それを一つにしてしまった「はぜ」という字もあるんです。

ハゼを漢字で書くと

今日は、ハゼの中でもマハゼについてお話をします。マハゼは、漢字で書くと「真沙魚」となり、真のハゼという意味になりますから、ハゼの中のハゼという名前を持った魚です。長く生きるものでも数年、多くは1年で生まれ、成長し、次の世代に命をつなぎ、死んでいきます。急速に成長しますから、マハゼはなんでも食べます。子供の時には、エビ・カニの子供など動物プランクトンとして水中にういている小さな生き物を食べていますが、その後、砂にもぐっているゴカイや小型のエビ・カニを食べるようになり、大きくなると、アオノリなどの海そうや、他の小魚も食べているようです。また、マハゼを食べる動物として、サギなどの鳥やウナギ・スズキなどの大型の魚がいます。マハゼは汽水域の中で、他の生き物を食べ・食べられながら生きています。こうした場所のことを生態系とよび、人間と他の生き物たちが生活しているために、とても大切な場所なのです。

生態系

冬になるとマハゼは汽水の海側の海底に深い巣穴をほり、その中の天井に卵を産みます。春になって生まれた子供たちは、川をさかのぼり、汽水の上の方、すなわち川の浅いところに集まります。その後、夏になって、若い元気なハゼとなって河口や運河に下ってきて、秋なると再び、海に集まるといわれています。巣穴をほるのは主にオスのマハゼの役目で、良く見ると、成長したオスの口はスコップの様に角ばっています。

マハゼの一年

いま、こうしたマハゼの生まれる場所や時期が変わってきているようです。その実態を明らかにするための調査も行われています。みなさんも、ぜひマハゼつりをしてそのなぞ解きにチャレンジしてみて下さい。